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口腔

早期舌扁平上皮癌における頸部後発転移の新たな予測因子の検討

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演  者:
山川 延宏1、桐田 忠昭1、梅田 正博2、柳本 惣市2、太田 嘉英3、大鶴 光信3、大倉 正也4
相川 友直4、栗田 浩5、山田 慎一5、古森 孝英6、長谷川 巧実6、上田 倫弘7
所属機関:
1奈良県立医科大学・医学部医学科・口腔外科学講座、2長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科・口腔腫瘍治療学分野、3東海大学・医学部・外科系口腔外科学、4大阪大学・大学院歯学研究科・顎口腔疾患制御学講座、5信州大学・医学部・歯科口腔外科学教室、6神戸大学・大学院医学研究科・外科系講座口腔外科学分野、7独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター・口腔腫瘍外科

緒言:初期の口腔癌においても、原発巣の切除後に頸部後発転移を来すことにより予後不良となる症例を経験することは少なくない。これらは、従来の病理組織学的な因子のみで予測することは困難である。近年、Tumor budding(TB)が注目されており、多くの癌で有効な予後因子になると報告されている。従来の病理組織学的な評価だけでは予測できない症例があるため、従来の予測因子に加えTBとさらなる予測因子の検索のため、新たな病理組織学的な分類を加え検討を行ったので報告する。
方法:対象は2008年から2014年までに各施設を受診した舌癌StageI、II症例のうち根治手術を施行した症例433例中、原発巣が制御されており、病理組織学的な検討が行えた391例。各症例の背景因子として年齢、性別、病期を、病理組織学的因子としてTB、切除断端、分化度、腫瘍の深さ(Depth of invasion: DOI)、脈管・神経周囲浸潤、新たな予測因子の候補として腫瘍浸潤先端部の隣接組織の検討を行った。TB に関しては、buddingを認めないもの、5個未満、5個以上の3群に分けて、腫瘍浸潤先端部の隣接組織はリンパ球主体の組織、線維組織、筋組織、脂肪組織の4郡に分けて検討した。DOIに関しては4mmを基準として検討。各項目の頸部後発転移率を算出し、各群の統計学的な差を検討。単変量解析の結果をもとに多変量解析を行い、頸部後発転移の独立した予測因子を抽出した。
結果:全対象症例の頸部後発転移率は17.3%であった。単変量解析にて従来の予測因子である病期、DOI、脈管・神経周囲浸潤に加えて、TB、腫瘍浸潤先端部の隣接組織の違いで有意差を認めた。性別と年齢に加え、これらを説明変数とし多変量解析を行ったところ、性別(女性)、TB(5個以上)、DOI(4mm以上)、腫瘍浸潤先端部の隣接組織(筋組織、脂肪組織)が頸部後発転移に影響を及ぼす独立因子として抽出された。
考察:従来の予測因子に加えて、口腔癌においてもTBの存在はリンパ節転移の予測因子となることが明らかとなった。さらに、新たな因子として腫瘍浸潤先端部の隣接組織の違いは頸部後発転移を予測するうえで重要なリスク因子であると考えられる。これらのことから、このような条件を満たす症例においては術後の補助療法や2期的な頸部郭清を考慮する必要があるかもしれない。
結論:従来の予測因子に加えTB、腫瘍浸潤先端部の隣接組の違いは早期舌癌症例の頸部後発転移を予測する重要な因子になると考えられた。