
【背景】Stage II大腸癌の再発リスク因子に関しては様々な報告があるが、明確なものはない。
【目的】Stage II大腸癌術前血清を用い、miRNA発現を網羅的に解析し、術後再発ハイリスク群を識別するmiRNA profileを同定する。
【対象・方法】2008年から2010年4月までに手術を施行したStage II大腸癌患者208名(T群)をモデル構築に用い、2010年5月から2012年に手術を施行した207名(V群)をモデル検証に用いた。術前血清からmiRNAを抽出し、Toray-3D Geneキットを用いて網羅的に発現を解析し、術後再発を予測するアルゴリズムを作成した。このアルゴリズムの診断能の感度、特異度、正診率およびArea Under Curve(AUC)を算出し、臨床病理因子に基づく術後再発予測能と比較した。
【結果】T群 208名の経過観察期間の中央値(範囲)が4.7(0.8-8.6)年、年齢が66(40-87)歳、術前CEA高値/正常: 31/69%、術前CA19-9高値/正常: 13/87%、腫瘍部位 結腸/直腸: 70.2/30.8%、組織型 tub1-2/por-muc: 91.3/7.7%、壁深達度 pT3/pT4a/pT4b: 90.0/8.2/1.8%、ly陰性/陽性: 81/19%、v陰性/陽性: 33/67%、PNI陰性/陽性: 67/33%、郭清リンパ節個数30(11-98)個であった。術後の遠隔再発を22例(10.7%)、局所再発を2例(0.97%)に認めた。T群から同定された6個のmiRNAにより、感度81.4%、特異度56.5%、正診率67.0%、AUC 0.723で術後再発予測が可能であり、V群では感度78.1%、特異度62.5%、正診率68.6%、AUC 0.730という結果が得られた。臨床病理因子に基づく検討では、リンパ管侵襲、傍神経浸潤、pT4が多変量解析で独立した再発危険因子であった(オッズ比/95%信頼区間/p値=5.54/2.12-15.54/0.01 : 2.93/1.10-8.11/0.03 : 8.38/2.60-27.57/0.01)。この3因子を用いた再発予測診断能は、感度88.0%、特異度26.4%、正診率33.8%、AUC 0.568と低値だった。
【結語】Stage II大腸癌術後再発ハイリスク群を識別するmiRNA profileを同定することができた。術前のリキッドバイオプシーによるmiRNA発現解析のみで、臨床病理因子モデルよりも遙かに高い精度で術後の再発予測を可能にすることが示された。
【Background】The TRIBE study showed that FOLFOXIRI plus bevacizumab (Bmab) significantly improved efficacy outcomes as first-line treatment in patients (pts) with metastatic colorectal cancer. This phase II study was conducted to evaluate the efficacy and safety of FOLFOXIRI + Bmab in Japanese pts.
【Methods】The main eligibility criteria were age 20-75 years, PS 0-1, and wild-type or single heterozygous UGT1A1 genotype. Pts were treated with 12 cycles of FOLFOXIRI plus Bmab (oxaliplatin, 85 mg/m2; irinotecan, 165 mg/m2; 5-FU, 3,200 mg/m2; and Bmab, 5 mg/kg) as induction therapy followed by maintenance therapy with 5-FU plus Bmab until disease progression or unacceptable toxicities. The primary endpoint was progression-free survival (PFS) rate at 10 months with the planned sample size of 65 patients (threshold 50%, expected value 70%).
【Results】Totally, 69 pts were enrolled. The median age was 60 (range, 28-74) years, 63 pts were PS 0, and 39 pts with the UGT1A1 single heterozygous genotype. At a median follow-up time of 19.6 months, the PFS rate at 10 months and the median PFS were 75.2% (95% CI, 63.8-86.6; P<0.0001) and 13.3 months, respectively. The response and disease control rates by central review were 73.9% and 95.7%, respectively. The resulting in R0 resection rate was 24.6%. The major grade ≥3 adverse events were neutropenia (73.9%), hypertension (34.8%), febrile neutropenia (FN; 21.7%), diarrhea (10.1%), anorexia (10.1%). The incidence of grade 4 neutropenia (46.2%, 13.3%, respectively) and grade ≥3 FN (25.6% 10.0%) during the first 2 cycles was higher in UGT1A1 single heterozygous pts than wild-type pts.
【Conclusions】The efficacy of FOLFOXIRI plus Bmab in Japanese were consistent with the previous reports, with manageable but different incidence of neutropenia and FN between UGT1A1 genotypes. Prophylactic use of G-CSF in UGT1A1 single heterozygous pts were suggested considering the high incidence of grade 4 neutropenia and FN.
【背景】オキサリプラチン(Ox)を用いた治療で問題となる末梢神経障害の評価に広く用いられるCTCAEには、評価者の主観によるばらつきが指摘されている。我々は末梢神経障害発現状況をより客観的に評価するためにClip-test ver.1ならびにVer.2を考案し、本学会においてその有用性について報告してきた。今回Clip-test ver.2の症例集積が終了したので最終集計結果を報告する。【目的】Clip-test ver.2がOxによる末梢神経障害の発現状況、特にCTCAE grade1から2への悪化を的確に検出できるか評価する。【対象と方法】対象はOxを含む治療を初めて受ける症例とした。Clip-test Ver.2ではクリップ5個を一つずつつまんで移動させた時の感覚を、level 0:問題なくつまめました、level 1:つまめますが違和感があります、level 2:つまみにくい感じがしました、level 3:つまめませんでした、から選ばせた。各コースのClip-test (Ver.2)のlevelを末梢神経障害発現状況(CTCAE v4.0)、L-OHPの投与量、減量・中止理由、手足症候群の発生状況とともに記録した。【結果】6施設110人から結果を得た。術後補助療法が65例(59%)を占めていた。Clip-testのlevelはlevel 0:1:2:3= 74例(76%):23例(21%):12例(11%): 1例(1%)、末梢神経障害発現状況はCTCAE grade 0:1:2:3= 33例(30%):51例(46%):23例(21%): 3例(3%)であった。治療コースごとのClip-test level 1,2の累積発現曲線はCTCAE grade 1,2とそれと同様にコース数が増えるほど高くなり、level1の発現率曲線はCTCAE grade1の曲線とgrade 2の曲線の間に位置した。CTCAE grade 2以上に悪化した25例のうち17例(68%)において、それ以前にclip-test がlevel 1以上に悪化していた。【考察】対象症例の末梢神経障害はCTCAE grade 2以上がわずか24%であったが、術後補助化学療法が多くを占めたことに起因すると思われる。clip-test単独ではOxによる末梢神経障害の絶対的評価は不十分であるものの、従来のCTCAEによる評価にclip-testの評価を加味することにより、臨床上問題となるCTCAE Grade1からgrade 2への変化をより客観的に捉え得ることが示された。クリップを移動させるという単純かつ簡便な検査であるため診療の負担を増やさずにOxによる慢性蓄積性末梢神経障害発現の評価ならびに適切な減量/休薬の判断を補助できるツールとして期待できる。
背景:One Step Nucleic acid Amplification (OSNATM)法は、サイトケラチン19 mRNAをマーカーとしてリンパ節全体を検索する新規リンパ節転移検査法であり、乳癌、胃癌、大腸癌、肺癌で厚生労働省の認可を受けている。我々は、通常行われる1割面病理組織検査でpStage IIと診断された大腸癌の17.6%がOSNA法によってリンパ節陽性と判定されることを報告してきた。本研究では、これらの症例の3年無病生存期間(3Y-DFS)を調査し、OSNA法によるリンパ節転移診断の臨床的意義を検討した。
方法:cN0もしくはcN1と診断された大腸癌患者を国内11施設より前向きに症例登録した。全てのリンパ節は通常のH&E染色による1割面病理組織学的検査により転移診断を行った。加えて、分割可能な大きさのリンパ節(平均9.8個/症例)については半割し、OSNA法による転移診断を行った。UICC(第7版)病期分類にOSNA法による診断結果を加え対象症例を細分類し、各群の3Y-DFSを解析した。
結果:cN0,1大腸癌204症例を前向きに症例登録した。この内、解析対象外となった9症例を除く195症例を解析対象とした(pStage I: n=50, pStage II: n=71, pStage III: n=74)。pStage Iでは2%(1/50)、pStage IIでは15.5%(11/71)がOSNA陽性と判定された。Stage IIの3Y-DFSは、OSNA陰性群は85.0%であるのに対して、OSNA陽性は45.5%と予後不良であり、統計学的に有意な差を認めた(p=0.005)。また、Stage II症例のDFSを規定する因子を検討したところOSNA陽性のみが独立した危険因子であるという結果が得られた(RR=3.935,p=0.025)。
結論:Stage II大腸癌におけるOSNA陽性は再発危険因子であり、OSNA法はハイリスクStage IIの選別に有用と考えられた。OSNA陽性Stage II大腸癌に対する治療戦略については、さらなる検討が必要と考えられた。
【目的】大腸癌根治切除例におけるRAS、BRAF変異およびマイクロサテライト不安定性(MSI)のバイオマーカーとしての意義を検討。
【方法】2013年1月より大腸癌根治切除例におけるRAS変異(KRAS exon 2/3/4、NRAS exon 2/3/4)、BRAF V600E変異をパイロット的に検索した308例、およびMSI statusを検索した298例を対象とし、根治切除後の予後との関連を検討。
【結果】all RASの変異頻度は48.1%(148/308)、このうちKRAS exon 2の変異は38.0%(117/308)だった。RAS変異例では組織型で高分化型(tub/pap)に比べて低分化型(por/muc)に多い傾向が見られた(p=0.108)。RAS野生群(n=165)の3年無再発生存率は74.9%、変異型(n=143)が61.5%で有意に野生群で良好であった(p=0.018)。stageII(n=100)およびstageIII(n=85)での無再発生存を比較すると、stage IIにおいては野生型で良好な傾向があったが(p=0.079)、stage IIIでは差を認めなかった(p=0.699)。BRAF V600Eの変異は6.8%(21/308)に認められ、原発部位で右側が、組織型で低分化型(por/muc)が有意に多かった(いずれもp<0.001)。BRAF野生型(n=287)と変異型(n=21)での3年無再発生存率はそれぞれ70.6%、56.2%で、有意差は認めなかった(p=0.12)。MSI-Hは8.1%(24/298)でに認められ、原発部位で右側が(p<0.001)、組織型で低分化型(por/muc)が有意に多かった(p=0.004)。根治切除全例でのMSI-H群(n=24)とMSS+MSI-L群(n=274)の無再発生存には有意差を認めなかったが(p=0.345)、stage II/III症例においてはMSI-H群(n=14)はMSS+MSI-L群(n=167)に比し有意に予後が良好で(p=0.046)、MSI-H群では再発例を認めていなかった。BRAF変異群21例をMSI statusで分けて無再発生存を比較すると、BRAF変異/MSI-H群(n=12)はBRAF変異/MSS+MSI-L群(n=9)に比し有意に無再発生存が良好であった(p=0.01)。
【考察】stage IIにおいてはRAS変異群の予後が不良な傾向であり、いわゆるhigh risk stage IIの因子となる可能性がある。Stage II/III大腸癌において、MSI-H群は予後良好であり補助化学療法が不要である可能性がある。BRAF変異/MSS+MSI-L群は非常に予後不良であり、強力な補助化学療法の対象とすべきかもしれない。
【結語】大腸癌根治切除例におけるRASやBRAFの変異有無、MSI status等は、補助化学療法を考える上でのバイオマーカーとして有用であることが示唆された。
【目的】JCOG0910試験の第2回中間解析(観察期間中央値は23.7か月かつ必要イベント数の48%)において、III期大腸癌(C-Ra)に対する術後補助化学療法におけるカペシタビン療法(A群)に対するS-1療法(B群)の無病生存期間(DFS)における非劣性は確認できず(3年DFS はA群/B群:82.0%/77.9%、DFSの HR=1.23 (99.05% CI, 0.89-1.70) )、この対象にS-1の使用は推奨できないと、2015年の本学会で報告した。今回、この結論の妥当性を確認するため追跡期間3年における追加解析を行った。【方法】 根治切除されたIII期大腸癌をカペシタビン療法群(A群:カペシタビン 2500 mg/m2/day:14日間内服後7日間休薬を8コース)とS-1群(B群:S-1 80 mg/m2/day:28日間内服後14日間休薬を4コース)のいずれかにランダム割付した。主要評価項目はDFS、副次評価項目は無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)とした。予定登録数は1,550人(片側α=0.05, 検出力80%、許容ハザード比1.24)であった。尚、本試験はUMIN-CTR, #UMIN000003272として登録している。【結果】2010年3月から2013年8月までに1,564人(A群/B群:782人/782人)が登録された。患者背景は年齢中央値66歳、男/女:52%/48%、結腸/直腸:68%/32%、リンパ節転移個数≦3/4≦:84%/16%。3年の追跡期間終了時点での観察期間中央値は4.13年であり、必要イベント数の69%(368/535)が観察された。3年DFSはA群/B群:81.7%/78.3%、DFSのHR=1.22(95% CI, 1.00-1.50)であり、S-1の非劣性が証明できなかった(非劣性仮説に対する片側P=0.448)。同様に3年RFSはA群/B群:84.6%/81.5%、RFSのHR=1.21(95% CI, 0.96-1.53)、3年OSはA群/B群:96.3%/95.4%、OSの HR=1.18(95% CI, 0.83-1.68)であった。【結語】中間解析と同様に、今回の追加解析においてもIII期大腸癌(C-Ra)に対する術後補助化学療法におけるS-1療法の有用性は確認できず、この対象にS-1の使用は推奨できない。フッ化ピリミジン単剤を使用する際にはカペシタビン療法が標準治療である。
[背景]
近年、大腸癌初回化学療法を中心に原発部位が治療効果に影響をもたらすことが報告されている。原発部位によるレゴラフェニブの治療効果に関する検討は少なく、今回、HGCSG1401:レゴラフェニブの後方視的研究のデータベースを用いて検討した。
[方法]
HGCSG1401試験には173例が登録された。原発部位を右側:盲腸~横行結腸(n=55)、左側:下行結腸~直腸(n=118)と定義し、患者背景・有害事象(CTCAE v4.0)・奏効率(RR)/病勢制御率(DCR)(RECIST v1.1)はFisherの正確検定、治療成功期間(TTF)・無増悪生存期間(PFS)・生存期間(OS)はログランク検定/Cox比例ハザードモデルを用いて比較検討した。
[結果]
患者背景はおおむねバランスがとれていたが、性別(男性:右 38.2% vs 左 65.3%;p=0.001)、腹膜転移(あり:右45.5% vs 左 30.5%;p=0.062)、KRAS exon2(野生型:右43.6% vs 左 63.2%;p=0.021)で差異を認めた。有害事象はGrade 3以上の疲労(右 1.8% vs 左 13.6%;p=0.014)以外、有意な差は認めなかった。
RR/DCRは右:0/29.8%、左:1.9/29.0%と差異は認めなかった(p=1.000/1.000)。TTF:右:1.8ヶ月 vs 左 1.9ヶ月(HR 0.927, p=0.644)、PFS:右:2.0ヶ月 vs 左:2.1ヶ月(HR 0.894, p=0.511)、OS:右:6.6ヶ月 vs 6.2ヶ月(HR 0.807, p=0.205)と有効性は原発部位に影響を受けないことが示唆された。
[結語]
今回の解析では、原発部位により背景因子に若干の差異を認めるものの、原発部位はレゴラフェニブの有効性に影響を与えなかった。
[背景]
TAS-102は標準治療を終えた切除不能進行/再発結腸直腸癌に対して、プラセボを対象とした2つの二重盲検比較試験(J-003/RECOURSE試験)で有意に生存延長を認めた。本剤は2014年5月に発売され、一般診療に導入されたが、本邦における日常臨床下での多数例での有効性/安全性の報告は未だ少ない。
[方法]
本試験には参加施設においてTAS-102を投与した症例を全例登録とし、臨床情報より後方視的に検討を行った。本試験の評価項目は有害事象の発現頻度、相対用量強度、投与状況、腫瘍縮小効果(RR/DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などとした。有害事象はCTCAE ver.4.0、RR/DCRに関してはRECIST ver.1.1、PFS/OSに関してはKaplan-Meier法を用いて評価した。
[結果]
患者背景は男性/女性 : 218/193、年齢中央値66歳(33-88)、ECOG PS 0/1/2/3 : 170/190/43/8、KRAS Exon2 野生型/変異型 : 210/187(14例は未検)であった。治療開始用量は70mg/m2 326例(79.3%)/減量開始 85例(20.7%)であった。有害事象に起因する減量を100例(31.8%)に要した。高頻度に認められたGrade 3以上の有害事象は、好中球数減少 48.1%、白血球減少 34.8%、貧血 28.7%であった。
有効性は、奏効率 0.5%/病勢制御率 37.2%/無増悪生存期間中央値 2.2ヶ月/生存期間中央値 7.3ヶ月であった。ECOG PS別でみると、無増悪生存期間中央値はPS 0-1/2-3:2.3/1.5ヶ月 (HR 2.000, p<0.001)、生存期間中央値は8.1/3.4ヶ月 (HR 2.778, p<0.001)であった。
[結語]
TAS-102の有効性はPS 0-1の症例で既報とほぼ同等であったが、PS 2-3の症例では有効性は乏しく、投与に際しては注意を要する。一般臨床においても骨髄抑制は高頻度で生じており、注意を要する。
【背景】慢性閉塞性肺障害(COPD)を有する患者に対する手術では慢性気道感染を伴うことから、術後無気肺や肺炎などの呼吸器合併症の頻度が高く、周術期管理においては特に注意が必要とされる。また、腹腔鏡手術はCO2気腹に伴って気道内圧の上昇、動脈血酸素分圧の低下、動脈血CO2分圧の上昇、あるいは横隔膜挙上に伴う機能的残機量の減少などから酸素化予備能が減弱すると言われている。一方、大腸癌手術においては疼痛対策の向上などから、創痛による術後の喀痰排出困難・離床遅延が誘発する呼吸器合併症のリスクは決して高いとは言えず、COPD患者に対する大腸癌手術は開腹手術が選択されることが多い。しかし、これまでに腹腔鏡下大腸癌手術がCOPD患者の肺障害を増悪するといった報告はない。そこで今回我々は当院の治療成績をもとに、COPDを有する大腸癌患者において腹腔鏡手術が肺障害に与える影響について検討した。
【方法】2008年1月から2014年9月の間に当院で大腸癌に対して腹腔鏡下手術を施行した患者のうち、術前よりCOPDと診断されていた65例を対象とした。肺気腫容積は、胸部CT画像を用いてAZE virtual placeにより全肺容積に対する低吸収域の割合(LAA%)を算出し評価した。術前および術後約半年のフォローアップ目的にて撮影された胸部CTからLAA%を計測し、その変化について検討した。
【結果】患者の内訳は男性51名、女性14名であった。腫瘍の部位としては結腸癌50名、直腸癌15名であり、病期はstage Iが32名、stage IIが13名、stage IIIが18名、stage IVが2名であった。術後に肺炎を発症した患者は一人も認めなかった。術前および術後のLAA%の平均値±SDはそれぞれ7.02±7.50, 6.26±5.78であった。また術前に比べて術後にLAA%が増加した患者は37名であり、不変または低下した患者は28名であった。またLAA%の変化(術後-術前、ΔLAA%)は0.23±4.39であり、術前後のLAA%には明らかな有意差を認めなかった(p=0.46)。
【結語】COPDを有する大腸癌患者においても、腹腔鏡下手術は肺機能障害を増悪させることなく施行できる可能性が示唆された。