【背景】
癌抑制遺伝子BRCA1/2の生殖細胞系列変異は、遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)に関与する。BRCA1/2病的変異の同定は、HBOCの診断や予防的介入、治療選択に結びつくため重要である。欧米ではPARP阻害剤(オラパリブ)がBRCA変異陽性進行再発卵巣癌で承認されたが、本邦では未承認である。近い将来、日常臨床でBRCA1/2変異を解析し、ゲノム情報を診断・治療に生かすことが必要になる。
【方法】
分子診断用HDx標準サンプル3検体および乳癌卵巣癌患者147名(病的変異陽性20名、エクソン欠失陽性1名、陰性126名が既知)を対象とした。Early Access プログラムは本邦で1施設のみ認定を受け参画した。本プログラムで供給を受けたOncomine BRCA1/2 Panel (Thermo社)を用いてIon PGMにて次世代シークエンス(NGS)解析を行い、遺伝子変異およびコピー数変化を調べ、検出感度・特異度について検証した。
【結果】
HDx標準サンプル中の23変異は全て検出でき(感度:100%、特異度:100%)、アレル頻度は高い相関で一致した(R2=0.9986, アレル頻度レンジ:7.5-100%)。147名の乳癌・卵巣癌患者のうち、生殖細胞系列に病的変異が陽性21名(既知20名、新規1名)、陰性126名であった。新規に同定した変異は8bpのポリA部位であったが、サンガー法にて再確認した。また、コピー数解析で得られた結果は、MLPA法で同定したエクソン欠失陽性1例、陰性146例ともにデータは完全に一致し、エクソンレベルでの欠失部位も正確に同定可能であった。
【まとめ】
NGS解析によるBRCA1/2変異およびエクソンレベルのコピー数変化を同時に解析する系を確立した。本アッセイ系は、BRCA1/2変異の分子診断をする上で有用なツールとなり、分子標的薬治療の治療を推進に寄与する。