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口腔

口腔扁平上皮癌における頸部リンパ節転移症例の予後に関する多施設共同研究

演  者:
柳本 惣市
所属機関:
長崎大 院 口腔腫瘍治療学分野

【目的】口腔癌の頸部リンパ節転移において,多発転移や節外浸潤は予後不良であり,術後再発high risk例として術後補助療法の適応と考えられているが,口腔癌のみを対象とした大規模な検討は行われていない.今回,pN+例の治療法と予後の現状把握は重要であると考え,多施設共同後ろ向き研究を行った.【対象・方法】2002年1月から2011年12月までの10年間に,各施設を初診した口腔扁平上皮癌症例のうち頸部郭清が行われ,pN+と診断された491例を対象とした.【結果】原発部位では,舌210例(42.8%)と最も多く,pN個数は平均3.54個であった.節外浸潤は127例(25.9%)にみられ,舌がもっとも多かった.術後補助療法として,放射線療法119例,化学放射線療法49例,化学療法46例が行われていた.疾患特異的生存率(5y-DSS)は58.2%で,全生存率(5y-OS)は52.2%であった.pN+多発(2個以上)あるいは節外浸潤を認めた症例で有意に生存率は低下していたが,pN個数5個以下と6個以上の間にcut-off lineを設定できた.術後化学放射線あるいは放射線療法施行群では非施行群より有意に高い生存率を示した.【結論】口腔癌pN+症例において,6個以上の多発転移および節外浸潤は強力な予後因子で,本症例群に対して術後補助化学放射線療法は有効で,今後,RCTによる検討が必要であると考えられた.