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α1-酸性糖蛋白によるパクリタキセルの活性阻害とバイオケミカルモジュレーション

演  者:
大畠 慶直
所属機関:
金沢大 消化器・乳腺・移植再生外科

【はじめに】腹腔内への移行性が良い事から腹膜播種陽性胃癌に Paclitaxel (PTX) は頻用されてる. PTX の腹腔内投与の有用性について報告例があるが臨床試験の段階であり現時点では経静脈投与が標準治療である. しかし, その治療効果は十分ではない. 一方, 抗癌剤の代謝や薬理動態を補助薬剤により変化させ抗腫瘍効果を増強さる biochemical modulation といった概念があり, 大腸癌においては抗腫瘍効果を高めるために 5-fluorouracil に leucovorinを modulator として加える事は標準治療となっている. 腹膜播種陽性胃癌において癌が進行するにつれて PTX で十分な効果が得られない原因およびその改善策について PTX に結合する血清蛋白に注目した.【背景】PTX は血清蛋白の α1-acid glycoprotein (AGP) と結合し, 結合体と非結合体の間で平衡関係を形成するが非結合体が薬理活性を有している. 一般に担癌患者では AGP が増加すると報告されており, 当科での胃癌腹膜播種患者の腹水中でも 834 μg/ml と高値を示した. このような AGP の増加は PTX の非結合体の減少を来し活性体である非結合体が減少し結果として抗腫瘍効果が低下する事が予想される. 一方, erythromycin (EM) も AGP と結合する事が知られ, PTX と併用すると AGP への結合が競合し PTX の非結合体が増加し抗腫瘍効果が高まる事が予想される. 今回, 胃癌細胞株を用いて AGP による PTX の活性阻害および EM 併用による抗腫瘍効果の増強に関して in vitro および in vivo で検討した. 【方法】胃癌細胞株に対する PTX の細胞増殖抑制効果に, AGP の与える影響を MTT assay で評価した. 次に, AGP を胃癌腹膜播種患者の腹水中濃度である 800 μg/ml, PTX を経静脈投与での腹水移行濃度である 10 nM として EM を併用した際の cell viability を同様に評価した. 続いて, マウス胃癌腹膜播種モデルを作成し, 非治療群, PTX 投与群, PTX・EM 併用群の 3 群に分け抗腫瘍効果を比較した.【結果】in vitro で AGP は, PTX の活性を阻害したが EM を併用により抗腫瘍効果は再活性化された. in vivo では, 非治療群に対し, PTX 単独群で播種結節重量は有意に減少しなかったが PTX・EM併用群で有意に減少した.【結論】担癌患者における AGP の増加は PTX の抗腫瘍効果を阻害するがEM を modulator として併用する事で PTX の活性が増強し更なる抗腫瘍効果が期待できる.


S-1抵抗性胃癌に対するCPT-11/CDDPとCPT-11の第III相臨床試験(TRICS):生存解析結果

演  者:
徳永 伸也
所属機関:
大阪市立総合医療セ 臨床腫瘍科

【背景】S-1に抵抗性となった進行再発胃癌における2次治療として標準的なレジメンは確立されていない。そこで我々はCPT-11/CDDP併用療法とCPT-11単独療法を比較する第III相試験を計画し、すでに安全性などについて報告している。今回、プロトコールに規定された追跡期間が満了し、生存解析を行ったので報告する。
【方法】 S-1単独療法に抵抗性を示した進行再発胃癌をCPT-11/CDDP群(CPT-11 60 mg/m2, CDDP 30 mg/m2, Day 1, q2w)とCPT-11群(CPT-11 150 mg/m2, Day 1, q2w)に無作為に割付けた。主な適格基準はS-1単独療法中に増悪、もしくはS-1術後補助化学療法中か完遂後6ヵ月以内に再発 (有害事象による中止例は含まない)、PSは0か1で20歳以上の症例とした。割付因子はPS、進行例/再発例、施設、標的病変の有/無とした。主要評価項目は生存期間とし、CPT-11単独療法に対するCPT-11/CDDP併用療法の優越性を検証することとした。CPT-11群の生存期間中央値(MST)を5ヵ月(M)、CPT-11/CDDP群を8Mと仮定した場合、必要症例数は160例と算出され、目標症例数は不適格や脱落例を含み200例とした。
【結果】2007年から2011年の間に168例が登録され、各群84例割り付けられた。MSTはCPT-11/CDDP群13.9M、CPT-11群12.7M(HR 0.834, 95%CI 0.596-1.167, p=0.288)と有意差は見られなかった。無増悪生存期間(4.6M vs. 4.1M, HR 0.860, p=0.376)、奏効率(16.9% vs. 15.4%, p=0.812)、治療成功期間(3.3M vs. 3.5M, HR 1.009, p=0.96)ともに差は見られなかった。また有害事象では、グレード3/4の好中球減少(35.4% vs 27.2%, p=0.259)、貧血(15.9% vs 3.7%, p=0.009)、LDH増加(5% vs. 0%, p=0.04)の頻度はCPT-11群よりもCPT-11/CDDP群で高かった。全グレードではCPT-11/CDDP群において白血球減少、血小板減少、クレアチニン増加が、CPT-11群では下痢、便秘、口内炎の頻度が有意に高かった。探索的なサブグループ解析においてCPT-11/CDDP群は分化型で良好な結果が得られた(MST 17.3M vs. 14.0M, HR 0.561, p=0.021)。
【まとめ】CPT-11/CDDP併用療法は主要評価項目である生存期間を延長することが出来なかったが、CPT-11/CDDP併用療法は分化型で高い効果が得られる可能性がある。


HER2陽性手術不能進行胃癌に対するDCS+Trastuzumab (DCS-T)併用化学療法の認容性試験

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演  者:
佐藤 康史
所属機関:
札幌医大腫瘍・血液内科

[背景] 近年、S-1を中心とした化学療法の発展により手術不能胃癌の治療成績は向上しつつあるものの、化学療法単独での根治は未だ極めて困難である。我々は、切除不能な症例においても十分な奏効率が得られればadjuvant surgeryを組み込むことによって治癒を目指せる可能性があるとの考えに立ち、Docetaxel、CDDP、TS-1(DCS) 療法を開発し、多くの治癒切除例と良好なMSTが得られたことを報告してきた (BJC 2007、CCP2009、2013)。一方、HER2陽性胃癌に対するTrasutuzumabの有効性がXPレジメとの併用で報告され、乳癌と同様にタキサン系をはじめ多くの抗癌剤との併用においても良好な上乗せ効果も期待される。そこで、我々は、HER2陽性切除不能胃癌に対して更なる奏効率と治癒切除率の向上を期待しDCS療法にTrasutuzumabを併用するDCS-T療法の認容性試験を行った。[方法] 対象は、20歳から80歳のHER2陽性切除不能進行再発胃癌症例で心機能が正常である症例とした。方法はS-180mg/m2,day8にCDDP60mg/m2とDocetaxel 50mg/m2およびTrastuzumab(初回8mg/kg,2回目以降は6mg/kg)を3週毎に投与した。3コースまでの実施率の95%信頼区間の下限を80%としこれを達成できた場合をfeasibleとした。[成績] 2011年9月から14例が登録された。年齢中央値は60歳(50-71歳)で男性/女性:10/4名、PS0/1/2が8/4/2名、組織型は分化型/未分化型が11/3例、部位はU/M/L:3/3/3例、Her2は3+が11例、2+/FISH+が3例であった。T3/T4a/T4b:10/3/1例、N0/N1/N2/N3:2/0/2/10例、転移は、遠隔リンパ節/肝/腹膜/肺/骨/卵巣:10/7/3/2/1/1例であった。2臓器以上の転移巣を有するのが50% (7例)であった。3コースまでの投与完遂率は100%であった。RECISTによる抗腫瘍効果は全例PR(奏効率100%)でありPRに至ったのは中央値で1コース後であった。Grade3以上の有害事象は白血球/好中球減少は71/85%、FN 7%、食欲不振28%、下痢28%でいずれも管理可能であった。 現時点で、14例中8例において非治癒因子が消失し、2例の肝転移を含む5例でR0切除が施行された。組織学的効果はgrade 1b以上が80%であった。観察期間中央値は8.5M (2-20.7M)であるが全例生存中である。[結語] HER2陽性手術不能胃癌に対しDCS-T療法はfeasibleな治療と考えられ、極めて高い奏効率と、治癒切除率が得られたことからconversion治療を期待できる有望な治療法と考えられた。今後更なる検討を予定している。


肉眼的腹膜播種陽性胃癌に対するパクリタキセル腹腔内投与 第II相臨床試験

演  者:
山口 博紀
所属機関:
東京大学腫瘍外科

【背景】胃癌腹膜播種に対する標準的治療は定まっておらず、新たな治療法の開発が望まれる。肉眼的腹膜播種陽性(P1)初発胃癌に対するS-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内投与の効果と安全性を確認するため、高度医療制度下第II相臨床試験を行った。【方法】初発胃癌において審査腹腔鏡により肉眼的に腹膜播種が確認された場合に本臨床試験の対象とした。審査腹腔鏡時に腹腔内注入ポートを皮下に留置し、S-1 80 mg/m2 (Day1-14)+パクリタキセル経静脈投与 (50 mg/m2, Day1, 8)・腹腔内投与(20 mg/m2, Day1, 8)、7日間休薬を1コースとした化学療法を行った。主要評価項目を1年生存率とし、副次的評価項目を奏効率および腹水に対する有効性とした。【結果】2009年12月から2010年11月までに35症例登録し、観察期間を最終登録より1年6ヶ月とした。投与コースの中央値は11(2-35)コースであった。1年生存率は77.1%、(95%信頼区間 60.5-88.1)2年生存率は44.8%、生存期間中央値は17.6ヶ月であった。標的病変を有した7症例において奏効率は71.4%であった。PCI (peritoneal cancer index) scoreが20以上の症例は20未満の症例よりも生存期間が短い傾向が認められた。腹水を有した21例中15例 (71%)において消失あるいは減少を認めた。グレード3/4の有害事象は好中球減少(34%)、白血球減少(23%)、貧血(9%)であり、非血液毒性は軽度であった。原発巣を有する32例中21例において、腹水細胞診が陰性化し、画像診断上明らかな非治癒因子を認めず、審査腹腔鏡により腹膜播種の消失あるいは縮小が確認され、胃切除を施行した。【結論】S-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内投与併用療法は、P1胃癌症例に対し安全かつ有効な治療法である。


本邦の切除不能進行・再発胃癌におけるHER2 status の検討 -前向き観察研究JFMC44

演  者:
富田 寿彦
所属機関:
兵庫医科大 内科学 上部消化管科

(背景)トラスツズマブは第III相臨床試験(ToGA試験)においてHER2陽性胃癌に対する効果が証明され標準治療として推奨されている。ToGA試験でのHER2陽性率は、参加各国のスクリーニング結果では、全参加国の22.1%に比べ本邦の陽性率は27%と高い事が示された。しかし、ToGA試験は治療を前提とした測定結果であり、患者背景に偏りが生じている可能性があるため、本邦における胃癌での真のHER2陽性率およびHER2陽性と関連する因子を探索するため、前向き観察研究を実施した。(方法) 2011年8月1日以降に診断された切除不能な進行・再発胃癌を対象に中央判定によるHER2検査を実施しHER2 statusの分布を検討した。HER2検査は全例にIHC法およびFISH法を行い、IHC3+またはFISH+をHER2陽性とした。HER2陽性率および、HER2陽性と患者背景因子ならびに標本背景因子との関連を検討するとともに、IHC0/1+でFISH陽性となる群の患者背景因子ならびに標本背景因子との関連を検討した。(結果)2011年9月~2012年6月に157施設より1461例が登録された。HER2評価が実施されたのは、FISH判定不能症例20例および不適格6例を除く1435例であった。患者背景は、男性/女性:1026/409、年齢中央値68歳(範囲:23-99)、高度進行/再発:1045/390、生検標本/手術標本:750/685。 HER2陽性率は21.1%であり、HER2強陽性(IHC 3+またはIHC 2+かつFISH陽性)の割合は15.5%であった。多変量解析を実施したところ、腸管型(Lauren分類)、腹膜転移なし、肝転移ありがHER2陽性と相関が認められ、また65歳以上、腸管型(Lauren分類)、壁深達度T0-T3においてIHC0/1+でHER2遺伝子増幅を伴ったものが有意に多いことが示された。(結語)日本人の切除不能進行・再発胃癌患者におけるHER2陽性率はToGA試験における陽性率と同等であった。また、多変量解析で認められた結果は胃癌のHER2陽性患者に対する治療戦略の情報として重要であり、胃癌における個別化治療の推進に向けた研究結果として報告する。


進行胃癌におけるKRAS, NRAS, BRAF, PIK3CA遺伝子変異の頻度・予後に関する検討

演  者:
深堀 理
所属機関:
国立がん研究センター中央病院 消化管内科

【背景】RAS-RAF-MEK-MAPK pathwayは細胞増殖に、PI3K-Akt pathwayはアポトーシスに関与する細胞内シグナル伝達経路である。切除不能進行大腸癌においては、これらシグナル伝達経路の遺伝子変異は予後不良因子と報告されている。一方、切除不能進行胃癌における、これらの遺伝子変異の頻度についての報告は少数に限られ、臨床的意義についても明らかではない。【方法】1995年9月から2008年3月の期間、当院のバイオマーカー研究に参加し、かつ病理組織学的に胃癌の確定診断にて胃切除術を施術された患者は173人であった。このうち167人の新鮮凍結標本あるいはパラフィン包埋組織のKRAS (exon 2.3.4), NRAS (exon 2.3), BRAF (exon 15), PIK3CA (exon 9.20)の遺伝子変異解析を行った (コホートA)。その中で全身化学療法を受けた患者は125人 (コホートB)であった。診療録より患者背景を調査し、コホートAにおいてFisherの正確検定、カイ2乗検定にて患者背景と遺伝子変異との相関を検討した。コホートBにおいて単変量解析・多変量解析を用い、患者背景や遺伝子変異の有無と予後との相関を検討した。また、Kaplan-Meier生存曲線にて全生存期間中央値を算出した。【結果】コホートA:KRAS codon 12、13変異 8人(4.9%)、PIK3CA exon 9,20 変異 9人(5.5%)、NRAS codon 12,13変異 3人(1.9%)をそれぞれ認めたが、KRAS codon 61,146、BRAF V600E、NRAS codon 61の変異は認めなかった。KRAS codon 12,13変異においては、高-中分化腺癌の頻度が有意に高かった (p= 0.03)。年齢、性別、ECOG-PS、転移臓器、転移臓器箇所数とKRAS codon 12,13、PIK3CA exon 9,20、NRAS codon 12,13との間に相関はみられなかった。コホートB:NRAS codon 12,13 変異は有意に予後不良 (MST: 15.5 vs. 9.4ヶ月, p= 0.011, log-rank test)であり、単変量解析 (HR: 4.24, p= 0.014, 95%CI: 1.30-13.8)、多変量解析 (HR: 5.61, p= 0.006, 95%CI: 1.64-19.2)共に予後不良因子であった。一方、KRAS codon 12,13 (MST: 13.2 vs. 15.7ヶ月, p= 0.775)とPIK3CA exon 9, 20 (MST: 13.6 vs. 9.4ヶ月, p= 0.29)の変異と予後に相関は認めなかった。【結語】本邦における切除不能進行胃がんのKRAS、PIK3CA、BRAF遺伝子変異の頻度は稀であり、海外の既存報告とほぼ同様の結果であった。本研究においてNRAS遺伝子変異は予後不良因子であったが、KRAS、PIK3CA遺伝子変異は予後不良因子とならなかった。


胃癌における術前予後因子を用いたNomogram作製と各種規約との生存転帰予測能の比較

演  者:
坂東 悦郎
所属機関:
静岡がんセンター 胃外科

(背景) 胃癌の予後因子はT,N,Mが代表的であるが,他の予後因子も報告されており,T,N,Mだけでは,生存転帰の予測に制限があると考えられる。個別の生存転帰予測の計算尺としてのNomogramが注目されている。(目的)胃癌症例において術前予後因子を用いたNomogramを作製しその妥当性を検証すること,および既存の規約に比較して生存転帰予測能力の優越性を明らかにすること。(対象と方法)2002.10-2012.1の期間に当科で外科手術を施行した症例中,初発で術前に化学療法を受けていない2807例。endpointは全生存期間,術前予後因子(性別,年齢,部位,生検組織型,腫瘍径,肉眼型,CT上のリンパ節転移個数=cN,内視鏡上の深達度=cT,cM,血清CEA/CA19-9)をNomogram構成因子として選択した。Cox回帰分析の折れ線ハザードを用いて各予後因子とカテゴリーの生存転帰予測能力を横軸としてNomogramを作製した。各予後因子をpoint化してその合計pointを算出し5年生存率を個別に算出し,Bootstrap法(無作為抽出200サイクル)によるinternal validationにて今回作製したNomogramの正確性を検証した。また時間依存のROC分析(Harrell法)を用いてc-indexを算出し,各種規約との生存転帰予測能力を比較した。(結果)最も生存的予測能が高い(Nomogramの横軸が長い)因子はcTでありついでcN,肉眼型,腫瘍型であった。性別,部位,血清腫瘍マーカーの予測能力は低く,Nomogram上での横軸は短いものとなった。Bootstrap法によるcaliblationでは予測生存率(x軸)と実際の生存率(y軸)がほぼ直線を呈し作製されたnomogramは正確な計算尺であった。また今回のNomogramのc-indexは0.852で,TNM6版の0.822,TNM第7版の0.826,我が国の取扱い規約第13版の0.821に対して高値であった。(結語)今回作製した術前予後因子によるNomogramは妥当であり,生存転帰予測能力に関してもTNM分類および日本の取扱い規約よりも優越していた。今後はexternal validationが必要である。


GISTに対する術後イマチニブ6ヵ月間投与と1年間投与のランダム化第II相試験

演  者:
藤田 淳也
所属機関:
NTT西日本大阪病院 外科

【背景および目的】Z9001試験、SSGXVIII試験においてGISTに対するイマチニブの術後補助化学療法の有用性が示されたが、適切な対象の選定および投与期間については依然として議論が続いている。近畿GIST研究会において、中・高リスクGISTを対象に術後イマチニブ6ヵ月間投与と1年間投与を比較したランダム化第II相試験を行ったので、その中間解析結果について報告する。【方法】年齢20~79歳、PS-0~1、肉眼的治癒切除(R0, R1)が施行され、免疫組織学的検査にて診断された中リスクあるいは高リスクGIST(Fletcher分類)を対象に、術後イマチニブ(400mg)の投与期間を6ヵ月群と 1年群に無作為に割り付けた。主要評価項目は無再発生存期間(RFS)、副次的評価項目は全生存期間、治療完遂割合、有害事象発生割合とした。3年のRFSを70%と仮定し、6カ月投与群の非劣性許容域をハザード比(HR)<1.67、α=0.2、β=0.8の条件に設定した。【結果】2007年12月~2011年8月の間に37施設から92例が登録され、45例が6ヵ月群に、47例が1年群に割り付けられた(1年群の1例は中央判定にてdesmoidと診断され不適格)。両群間の患者背景因子に明らかな差は認められなかった。いずれの有害事象も6ヵ月群と1年群の間で頻度の差は認められず、治療完遂率は6ヵ月群80%、1年群70%であった。登録完了1年後に行った中間解析では、2年RFSは6ヵ月群65%、1年群86%で、HR 1.81(95% CI, 0.84-3.91, P=0.12)であったため、効果安全性評価委員会の勧告により無効中止による早期公表となった。リスク分類別にみたRFSの検討では、中リスク症例ではHR 1.15 (95% CI, 0.072-18.2, P=0.92)であったが、高リスク症例ではHR 2.15 (95% CI, 0.96-4.81, P=0.056)であった。【結語】RFSの点からは、術後イマチニブ投与期間の短縮は推奨されない。ただし、中リスクGISTについては更なる検討の必要があると考えられた。


Phase III of regorafenib in pretreated advanced GIST: Japanese sub-analysis

演  者:
Toshihiko Doi
所属機関:
National Cancer Center Hospital East, Japan

The GRID trial is the international Phase III of regorafenib (REG) compared to placebo (PL) in patients (pts) with metastatic gastrointestinal tumor (GIST) following failure of at least imatinib (IM) and sunitinib (SU). The trial met primary endpoint which showed statistically significant longer progression free survival (PFS) in REG compared with PL. We report here the efficacy and safety of REG in Japanese sub-population (J-population).Pts with metastatic and/or unresectable GIST, objective failure of both prior IM and SU were randomized 2:1 to receive best supportive care (BSC) with either REG 160 mg po once daily (3 weeks on/1 week off) or PL. The primary endpoint was PFS by central assessment. Secondary endpoints included overall survival, tumor response and safety. Seventeen Japanese metastatic GIST pts were enrolled in this trial (REG: 12, PL: 5). Demographics were generally consistent with the overall study population. PFS in the J-population was significantly longer in REG arm compared with PL arm (HR 0.08, 95% CI, 0.02-0.45; 1-sided p=0.000164), as well as overall population (HR 0.27, 95% CI, 0.19-0.39; 1-sided p<0.000001). The J- and overall population showed similar disease control rate (REG 59%, PL 20 %, p=0.081; REG 56 %, PL 9%, p<0.000001, respectively). In J-population, commonly observed drug-related adverse events (AEs) in REG arm were hand-foot skin reaction (HFSR) 92%, mucositis oral 58%, hypertension, hoarseness, alopecia, rash maculo-papular, proteinuria and diarrhea 50%. There was no unexpected AE in J-population. The subset analysis of Japanese showed higher incidence of AEs compared with non J-population. The incidence of drug related discontinuation did not show any differences (J: 8%, Non-J: 6%). AEs were manageable by dose modification. In conclusion, the subset analysis of the J-population was considered similar efficacy and acceptable AE profile as well as the results of GRID trial, even in limited number of J-population.